Clara & Robert Schumann
Clara Schumann クララ・シューマン (1819〜1896)と Robert Schumann ローベルト・シューマン(1810〜1856)、この2人は夫婦ですが、楽譜を見ると、似たような音楽進行、手法、お互いのモチーフを用いて作曲しています。
ロマン派を代表するR.Schumannの音楽は、音楽と詩を融合した芸術を生み出しました。1つ1つにストーリーがあり、キラキラ輝く作品が綴られる音楽の宝箱のような音楽集が沢山あります。
Claraは少女時代天才ピアニストとして有名でした。Robertがピアノを学ぼうとLeipzigライプツィヒの名門Wieckヴィーク先生(Claraの父親)のもとを訪れ、2人は知り合いました。今日Claraの作品をなかなか知ることはありませんが、素晴らしい作品を多く生み出しました。彼女の作品は新ロマン派主義にあたります。ピアノの特性を知り尽くしたClaraはピアニスティックな技術を生かし、オーケストラ的な幅広い表現がされるものです。物語を語りかけるような美しいメロディー、繊細で響き豊かな和声を用い、春に蝶々が飛ぶような華やかで色鮮やかな女性ならではの表現がされています。作品からとても大きな手をしていた事が分かります。
↓ 偶然にも? 2人の作品番号が同じOp.6 の作品に同じモチーフがあります。
★Clara Wieck(この頃はまだ結婚してなくWieckヴィーク)
Soirees musicales Op.6 Nr.5
音楽の夜会 第5曲 Mazurka
1〜2小節
(後に9〜10小節に両手でR.Schumannと同じモチーフが出てくる。下右)
1836年作曲
★Robert Schumann
Davidbuendlerstaenze Op.6 Nr.1
ダヴィッド同盟舞曲集 1
1〜2小節
1834〜1836年作曲
Robert Schumannの楽譜にClara.Wieckのモチーフと書いてありますが作曲年を見るとR.Schumannの方が早くに作曲していたのかもしれません。
↓こちらは、Clara Schumannのロマンス h moll と、Robert SchumannのAlbumblaetter 音楽帳 Op.124です。
★Clara.Schumann
Romanze h moll
ロマンス ロ短調
81.82小節です。
Weihnachten 1856(1856年のクリスマスに)と記されている楽譜を見かけますが、ウィーン学友協会にある自筆譜には1855と書かれているらしいです。この一年の違いはとても大切で大事な事です。なぜならば、1856年7月にR.Schumannがこの世を去りました。最愛の夫を亡くす前か、後か、Claraの心は違うと思います。いつかウィーン学友協会の自筆譜を自分の目で確かめに行きたいものです。又楽譜の1番最後には、"Liebendes Gedenken Clara" (愛の思い出に クララ) とあります。
★Robert Schumann
Albumblaetter Op.124 より
第6曲 Wiegenliedchen 小さな子守歌
冒頭1〜4小節、このテーマが何回も楽曲中に現れます。
メロディーライン、和声進行が同じです。音楽帳は1832〜1845に作曲されました。Claraは、Robertとの思い出とこのテーマを被せロマンスを作曲したと思われます。
↓
★Clara Wieck
Valses romantiques, Op.4
7〜10小節
★Robert Schumann
Carnaval, Op.9
Valse allemand
9〜12小節
↓
★Clara Wieck
Quatre Pieces caracteristiques,
Op.5 Nr.4
Scene fantastique
冒頭
44〜47小節
★Robert Schumann
Klaviersonata fis moll
ピアノソナタ
Op.11
第1楽章冒頭
↓
★Clara Wieck
Soirees musicaves, 音楽の夜会
Op.6 Nr.2 "Notturno"
★Robert Schumann
Novelletten,
Op.21 Nr.8
Stimme aus der Ferne
↓こちらの作品は、
Clara Wieck
Romance Variee ロマンス・ヴァリエ
Op.3
その頃Claraが13歳、Robertは23歳でした。Claraが初めてRobertに捧げた作品です。華やかで甘く美しいフレーズに溢れた少女らしいロマンスと変奏曲です。
↓最後に、1番上の写真とこちらの本は私がドイツ留学時代お世話になったDresdenの名家Klaviermeister(ピアノマイスター、ヨーロッパでは調理師さんとピアノを造る人が同じです)・Klavierhaus Weber ウェーバーさんの奥様が最近ドイツ語を忘れないようにと送って下さったものです。日本では手に入らないヒントが沢山載っていました。
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