R.Schumannのヘミオラ
ヘミオラ hemiola とは、①リズムの用語と②音程の用語(3:2の長さの比率を持つ二本の弦から生じる音程、すなわち完全5度のこと) がある。
ギリシャ語源hemioliosからのもので<3:2>の比率の意。hemi が半々、oliosが全体を意味する。本来(1/2 + 1 ) という意味。
リズム用語:3拍子の音楽が2拍子、又は大きな3拍子になる事。本来1小節の中に4分音符が3拍の3/4拍子が2小節で大きな3/2 拍子となる。 又は4分音符2拍の2/4拍子に分けられる。
下記の譜例において3.4小節目は3/4拍子 二小節が、2/4 拍子3小節、もしくは3/2 拍子1小節に置き換えられる。
J.S.BachのInventionを小学生の頃勉強した際、ヘミオラの事を知った。その後、J.S.Bachの作品によく見られ、D. Scarlatti. ソナタ、G.Haendel. 水上の音楽、W.A.Mozart. eine kleine nacht Musik.Kv.525 第三楽章、L.v.Beethoven. 交響曲第3番第1楽章展開部、F.Chopin 練習曲Op.25-10、又R.Schumann. 交響曲第3番Rheinの冒頭、などの作品でヘミオラに出会った。G.Haendelはヘミオラを常套句のように使っている。はじめは、2拍子、大きな3拍子を感じながら弾いていたが、R. Schumannのピアノ協奏曲を弾いた時にヘミオラの新しい発見があった。協奏曲なので指揮者とオーケストラと一緒に演奏するが、その指揮者がヘミオラ部分も3拍子を感じながら指揮棒を振っていた。そこで初めて元の拍子感を持ちながら2拍子を感じつつ音楽を作る事を知った。
R. Schumann ピアノ協奏曲 第三楽章
R. Schumann のピアノソナタ Op.11 fis-moll の第三楽章、第四楽章にヘミオラが見られる。第三楽章は元の3拍子とヘミオラ部分との対比が面白く感じたが、第四楽章は冒頭からしばらくずっとヘミオラが続く。しかもアウフタクトで始まっている。第四楽章中このテーマは何度も繰り返されてゆく。最後は3拍子が2小節単位で2拍子(もしくは4拍子)となり、1小節間で2拍子になりその後3拍子になり終わる。リズム、拍子感は音楽で大切なものだが、ここまで複雑に不安定になると、それはR. Schumannの精神性からきていると感じる事ができる。
R. Schumann ピアノソナタ Op.11 第三楽章
R. Schumann ピアノソナタOp.11 第四楽章
0コメント